ロンリーファイター



「実はさ、滝さん独立したいらしくてさ」

「え?」

「今すぐってわけじゃないけど、あと何年かのうちにこの会社辞めて、自分で新しい会社を作りたいんだって」

「へー…あ、じゃあ」

「そう。それで、その時に一緒についてきてくれないかってずっと誘われてるの」

「……」



新しい、会社のために…





『だから俺について来てほしいんだって』





あぁ、だから、あの言い方…



「…ちなみに滝さんがずっと椎菜さんを好きだって話は」

「へ?何それ?」

「西島さんたちが言ってて…」

「ないないない!だってあの人バツ3だよ?面倒事になるからって周りには言ってないけど、つい何年か前まで管理部の事務の子と結婚してたのに!」

「ばっ…バツ3!?」

「びっくりしちゃうよねー。一回も出来てない私が言うなって感じだけど、あれはあれで結婚しすぎ」



あはは、と笑う声に頭の中ではぐるぐると様々なことが巡る。



< 160 / 333 >

この作品をシェア

pagetop