ロンリーファイター



「……!」

「…、…」



驚くうちに、背後ではエレベーターのドアが閉められた。



「…詩、織…?」

「私は…ずっとあなたを幸せに出来てないと思ってました…」

「…?」



震える声で呟くのは

見たことのない、彼女の感情





「私は、あなたといるだけで幸せで…でも、目と目が合うだけで緊張して…上手く話すこともできなくてっ…」

「……」

「プロポーズされた時も、驚いたけど…それ以上に、嬉しかった…」





『結婚、しない?』





「でも引け目もあって、あなたには稲瀬さんみたいな人の方がいいのかなって思ってて…」

「……」





だから別れを選んだ。

好きだから、互いにずっとすれ違ってた。





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