ロンリーファイター



…何か冷たくされてるなぁ。

私何かしたっけ?ただ単に面倒な仕事押し付けられるのが嫌なだけかな?

どちらにせよ、明らかに不満な反応で返されるのは少しへこむ。



「稲瀬さん」

「?あ…田口くん」



すると不意に名前を呼ばれ、振り向いた先では今日もコーヒーを配る彼がいた。



「?何かあったんすか?」

「ううん、何でも。それより、今日もコーヒーありがと」

「稲瀬さんも、お疲れっす」



そう言って紙コップを手渡し、田口くんはまたコーヒーを配り歩く。その後ろ姿を見ながら一口飲めば、口の中に広がる香りと苦み。


< 59 / 333 >

この作品をシェア

pagetop