ロンリーファイター



…なんて、久々の気持ちに浮かれているのはいいけれど。



「稲瀬ー!書類溜まってるぞ!」

「申請書にサインして至急リファックスくださーい!」

「稲瀬さんお電話ですー!」

「はいはいはいはい!!」



やらねばならぬ仕事たちは待ってはくれず、寧ろ溜まる一方で…

あっという間に迎えた夜。今日もまた残業を終えた私は、フラフラの体で既に誰一人いない会社を後にした。



(疲れた…けど夜風が涼しいー…)



9時過ぎをまわった時計に、夕飯は何にしようかと考えながら街を歩く。

コンビニ…いや弁当屋、けど近くの蕎麦屋でもいいかな。そう駅前のちょっとした飲み屋や飲食店を見回していると



「あれ、稲瀬何してるんだ?」

「あれ、西島さんたち…」



そう声をかけてきたのは、近くの居酒屋から出てきた西島さん率いるうちの会社の男社員たち数名。


< 89 / 333 >

この作品をシェア

pagetop