神龍と風の舞姫
「って、おい」

ぐいっと呆気にとられる海斗の腕をつかんで走り出す

その脚が風をまとっていることに気が付いた海斗は、

(こいつ、さっきの…)

先ほどの強力な突風を思い出し、ふと瞳を細める

って、

なぜ自分がこの少女に掴れているのかは、まったく理解できないのだが



「はー、間に合ったー」

良かったー

ボックス風になった合い席室に滑り込み、ずるずると安堵と共に脱力する

向かいには無理やり乗る気のなかった列車に連れ込まれた海斗が頬杖をついて外を眺めている

その瞳は少々めんどくさそうに、機嫌が悪そうに細められている

「あ、そうだ。さっきはありがとうね」

あいつらしつこくて

思い出したようにふわりと笑い、笑顔を向けてくる

能天気、そう感想を抱いても決して失礼ではないと思う

すっと視線だけ動かした海斗を特に気にする風もなく、少女は口を開く

「ねえ、お兄さん名前は?」

あ、私しるふっていうの、よろしくね

だからどうして名を名乗らなければならない、しかもよろしくと言われる筋合いはない
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