空から舞い降りた天使
急いで音楽室に向かう。



扉の向こうから微かに聞こえる、ピアノの音。



ガラガラ〜



扉をあけると、
黒く輝くそれに、細くて、長い、しなやかな指が、音色を奏でている。




「隼人…、ピアノ弾けるの?」



「少しだけな、小さい頃少し習ったから。」




アタシは、隼人に近寄り、その綺麗な指に軽くキスをした。



「亜子、どうしたん?
おれが、ピアノなんか弾くから、びっくりしたん?」


「ううん、違うの…」




隼人といるとドキドキする。



こんなのよくないと、アタシはわかっている。



「亜子…」




アタシたちは、鍵盤の上で愛しあい、みだらで、バラバラな音だけが、静かな部屋に響いていた。



「隼人…」




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