空から舞い降りた天使
キイッ――
キイッ―


ブレーキ音をたてながら、聞こえるように。



「わぁ、びっくりしたぁ〜。」



亜子は隼人がそこにいる驚きと、全く隼人に気付かない自分に少し苛立ちながら。




「桜っ、びっくりするじゃあないか。」



「桜くん、声をかけてくれたらいいのに〜。」



「仲良く笑ってたから、声かけられへんかってん。」


「そうか。」




山下の奴め―

亜子はあかんねん。
亜子だけはあかんねん。




隼人は山下に視線をおくり、しっかりと山下の姿をとらえて離さない。



「桜〜亜子先生に話を聞いてもらっていただけだ。」


隼人の鋭い眼差しに山下は言葉をもらした。




「亜子先生、僕、忘れ物しました。」



「山下先生、また坂をのぼるの、たいへんですよ。」



「じゃあな、桜、」



山下は隼人の肩をポンとたたき、また学校に歩きだす。



「亜子先生〜また聞いてくださいね。」



「はい。」







隼人と二人の帰り道。
こうやって
二人で帰るのは
初めてだね。
隼人。




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