竜王様のお約束
なんという、怖いもの知らずな言葉であろうか。


コウリュウは、至って真面目な表情で自分を見ている声の主に、視線を送った。


「コクリュウが、進言しに行ってくれるのか?」


怪訝そうなコウリュウの顔に気がついて、コクリュウはびくっと肩を揺らした。


「はっ・・・。
私はまた、出過ぎた事を申してしまったでしょうか?」


「いや、そんなことはない。
兄上に進言しに行きたいだなんて、コクリュウは物好きだなぁと、思ってな。
なにせ話の内容が、リョクの事だから。」


「・・・?
物好き、で、ございますか?
ハクリュウ様に直答できる事は、私にとっての名誉なのですが・・・。
いえ、それはさて置き。
私には、先ほどハクリュウ様より賜った、罰がありまして。
遅かれ早かれ、人間界へ赴かなくてはならないのです。
これが丁度人間界へ行く、よい機会かと思ったのですが。」


『・・・お前は、どこまで真面目なんだよ。』


とは、コウリュウは口にせず。


「任せるよ。ぜひ頼む。」


と、短く答えただけだった。

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