竜王様のお約束
『そうか。
コウリュウ様の言葉の意味が分かったぞ。
こういう事か。』


愛娘のリョクを、このロクでもない輩達が住まう天界に連れて来るなど、ハクリュウにとっては、この上なく不愉快なことであった。


その事を、コウリュウは百も承知していたのだ。


たぶん、ハクリュウがこういう態度になるであろうことも、予測出来ていたはずである。


しかしコウリュウは、それを押してまで、ハクリュウに何とか天界に留まってほしかった。


ハクリュウ王崩御の嘘がばれた今、もうコウリュウに竜王としての求心力はなく、天界を乱さずに上手くまとめるには、何としてもハクリュウの存在が必要だったのだ。


コウリュウの思いが見えた今、期待に答えなくてはいけないと、持ち前の真面目心に火が点いたコクリュウ。


「ハクリュウ様。
無礼を承知で、進言申し上げます。」


震える小さな声で、コクリュウは呟く。


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