竜王様のお約束
焦点が定まっていないコクリュウに、シリュウはまたも囁く。


「コクリュウ、あなたは人間界へ降りて、あの人間の小娘を連れて来るのよ。」


シリュウの能力である、媚薬の吐息にかかったコクリュウは、静かに頷いてしまった。


「コウリュウ様に真実を、話して貰うためなんだな?。」


クラリと歪むコクリュウの視界の中で、怪しく笑うキリュウが答える。


「そう。そして、お前が次代の竜王になるんだよ。
僕の意のままに動く、マリオネット竜王になるんだ。
アハ・・・アハハ・・・アハ・・・。」


無気味なキリュウの笑い声が、古びた小屋に響く。


真実を知るためと、踊らされた真面目なコクリュウ。


下剋上を企てる野心家キリュウ。


コウリュウに騙された恨みを晴らしたい、復讐に燃えるシリュウ。


3人はそれぞれの思惑を胸に解散した。

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