竜王様のお約束
そんなリョクの笑顔は一際輝いて、キラキラとした漆黒の瞳でエミを見つめる。


「ねぇエミ、聞いた?
コウ叔父様は、私を待ってるんだよ。
きっと母様も、父様だって、私を待ってるわ。
そうだよね?黒龍様。」


「えっ?いや、まぁ。」


最初に言葉を濁して機を逃したコクリュウは、曖昧に答える事しか出来ない。


「ほら!
黒龍様もそう言ってるし!
みんな私を待ってるのよ!」


にこやかにリョクは、エミにずいっと近づく。


何故か、天界ではリョクを歓迎するムードであるかのように言われ、コクリュウは慌てて言葉を投げた。


「いや、リョク様。
待っているという訳では・・・。
それと、私の事はコクリュウと呼び捨てて下さい。
様など無用です。」


やや遠慮がちに、リョクの勝手な解釈を正したコクリュウは、再度、頭を下げた。


「ふぅん、コクリュウね。
分かった。じゃあコクリュウ。母様を天界へ連れていった理由を、今すぐに説明してよ。
コクリュウが言い辛そうだったから、私が天界へ言って理由を解明しようと思ったのに。
母様達にも会えるし、一石二鳥のチャンスかなって。
でも、ダメならいいわ。
コクリュウが説明して。」


< 139 / 257 >

この作品をシェア

pagetop