竜王様のお約束
大事に私を育ててくれたエミに、何て事言っちゃったんだろう。
・・・でも・・・。


リョクは、小さく深呼吸して気持ちを整えると、意を決してエミに視線を向けた。


「エミ・・・ごめんね。
私やっぱり天界に行ってみたい。
こんなチャンス、もうないと思うんだ。
自分の気持ちに、嘘吐くのは止める。
今までずっと思ってたの。
もっと屋敷の外に出て、他の子みたいに遊びたいって・・・。
でも私を大事に思ってくれるエミの気持ちが分かるから、言い出せなくて。
ごめんなさい、エミがどうこうって言うんじゃないよ!エミの事は大好き!
これからも一緒に居たいって思うし、母様と父様に代わって私を大事にしてくれた事、すっごく感謝してる。これは私の本当の気持ちだからね。
でも、それとこれとは違うっていうか・・・。」


「リョク様。」


必死に考えながら語るリョクを、エミは静かに制した。


「リョク様は、お優しいから。
私はずっとリョク様に、我慢を強いていたのですね。
申し訳ございません。お許し下さい。」


そして悲しそうな目をしたままで、エミはリョクに微笑んだ。


「行ってらっしゃいまし。」


このエミの言葉を聞いて喜んだリョク。
その側で、黙って控えていたコクリュウは、何を隠そう面食らっていた。


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