竜王様のお約束
笑っていたエミが、ふと思い出したように、ハクリュウに申し出た。


「そう言えば・・・。
ヤヨイ様は何だか騒がしいから、表の様子を見てくると、侍女のシキ(四季)を連れて、出て行かれました。」


「何?表へ?
ヤヨイのヤツ、我に一言もなく、出掛けおったのか!」


「ハク様、大丈夫ですよ。
ヤヨイ様はちゃんと、シキと一緒に行きましたから。
直に戻って参りますよ。」


「そうか?
いや・・・しかし・・・。
我も同行した方が・・・。」


ヤヨイの居場所を知って、いてもたっても居られなくなったハクリュウは、外に出たくてウズウズし始めた。


「とーたま、リョクもいくたいなの!」


「リョクはダメだ。
表は危険がいっぱいなんだ。



「とーたまといっしょなら、へーきます!」


「ダメダメ。
リョクが表へ出るのは、まだ早いんだよ。」


どこまでも過保護なハクリュウの言い種に、つい笑いを堪えられず、エミはクスっと漏らしてしまった。


「何が可笑しいのだ!
笑うでないわ!」


凄んではみたものの、リョクを抱っこしているハクリュウに、最早当時の威厳はなく、優しい父親と化した主の姿に、エミの笑いは止まらないのであった。

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