竜王様のお約束
コクリュウの返事を聞いたリョクは崩した表情を一変し、真顔になる。


「確認させて、コクリュウ。
元竜王の娘の命令でも聞けるんだから、竜王の命令なら絶対聞かなきゃだよね?」


「・・・はい。」


「決めたよ、私。
私の年齢や出会ってからの時間を理由にされたら、反論できないから。
だから。
もう、こうなったら命令します。
コクリュウは私と結婚しなさい。
私が竜王になります。」


「リョク様・・・!?」


一瞬目を見張ったコクリュウは、呆れたようにため息を吐いた。そしてほんの少しだけ考える。


「分かりました。
そこまで覚悟をお決めになったリョク様はご立派です。
お教えいたしましょう。
私と結婚して竜王になった時、しなければならないことを・・・。」


このような手段を用いる事に後ろめたさを覚えながらも、決意を秘めたコクリュウはゆっくりと立ち上がり、リョクの方へと歩み寄った。
と、リョクのその華奢な腕を掴み床の上へと押し倒す。


「・・・!?」


突然のコクリュウの乱暴な行動に、リョクは全身を強ばらせた。


「リョク様は龍に変幻できませんからね。
天界の住人たちに生気を分け与えるためには、こういうことを致さなければなりません。」


そう言うとコクリュウはリョクの上に無言で重なり、その体をひしと抱きしめた。


「ちょ・・・コクリュウ・・・止め・・・」
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