竜王様のお約束
でもハタと思い立ち、慌ててヤヨイは、キリュウの言葉を否定した。


「私は、コウリュウさんに乗り換えてなんていません!
失礼な事、言わないで!」


ヤヨイは頭をフル回転させて、キリュウへの反論を考える。


コウリュウとは何も、やましい関係にないと伝えねばならないし、何故自分がここへ連れて来られたか、理由を聞かねば納得できない。


相変わらず、絡みつくようなねっとりとした視線で、ヤヨイを眺めているキリュウに、肌がザワザワと警告を鳴らしヤヨイは、居心地が悪くて仕方がない。


その実、ヤヨイをここへ連れて来た実行犯の黒龍に、さして悪寒めいた危険を感じなかったヤヨイ。


変な考えなのだろうが、キリュウと二人きりで部屋に居るくらいなら、黒龍に早く来てほしいとまで思うほどだ。


「私は一生、ハクリュウだけを想い続けます。
それにコウリュウさんは、天界の竜王様よ。
人間の私なんかを、相手にするわけないでしょう。
それからキリュウ・・・さん?
あなたは、何が目的で私を天界に?
言っとくけど、私にはなんの利用価値もないわよ。
あなたの真の目的は何?」


腹立たしげに言い終えたヤヨイの顔の前に、ずいっとキリュウは自分の顔を近づけた。

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