竜王様のお約束
ヨン
イオリは重い足取りのコクリュウの手を引いて、やっとやっと王宮までやって来た。


道中コクリュウは、ぶつぶつと同じ言葉を繰り返し、イオリが呼びかけてもそれに答える事はなかった。


「コウリュウ様に、真実を・・・。
コウリュウ様に、真実を・・・。」


コクリュウが繰り返す言葉とは、ただこの言葉のみである。


「コクリュウ様。
どう言う意味でございますか?」


「コウリュウ様に、真実を・・・。」


やはり何度聞いても、コクリュウは繰り返すだけ。


コウリュウの部屋の、豪奢な紅い扉の前で、イオリは大きく息を吐き出した。


「さあコクリュウ様。
入りますよ。」


コンコンコ・・・。


イオリの拳がもう一度、扉を叩く前に、血相を変えて扉を開けたのは、他ならぬハクリュウであった。


「貴様!!!」


ハクリュウはコクリュウの腕を掴んで、中へと勢いよく引っ張った。


その反動で、コクリュウはものの見事に床の上に転がってしまう。


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