記念写真
「新婦さん笑って。撮りますよ～ハイチーズ」



桜が咲き誇るガーデンで記念撮影は行われた。



傍らで私を眩しそうに見つめるこの人とこれから永遠の誓を交わす。


一瞬強い風が吹き付け桜が雪のように舞い散った。




あの時と同じだ・・・・・・。







「綺麗だな桜。枝全部が花なんてすげーよな」



総一朗は目を細めて窓の外を愛おしそうに眺めた。



無菌室でシートに囲まれた部屋。



近くにいるのにガラス一枚でずっと遠くにいるような気がした。



サッカー部で活躍していた総一朗は、試合中に倒れ病院に運ばれた。



その前あたりから鼻血が止まりにくいとは言っていたけど、



急性白血病と診断されこの部屋に閉じ込められた。



少しづつおぼろげに消えそうになっていく総一朗を見つめながら、



でも現実として受け入れられなかった。私の思考回路がこの現実を受け入れなかったのだろう。


それがちょうど良かった。



でなければ私が先に消えてなくなりそうだった。







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