レイニーディ




私は彼の顔を見た。






うわぁ…目、透き通るように青い…






肌も真っ白。







「はは…」






ふいに彼は笑い出した。







「奇遇ですね…実は私も迷子です」







…………へ?








「あの…何年生ですか?」












「私は今日から2年になります」









…え?








「あの…1年も通っていれば迷子にはならないのでは…?」










わたしが尋ねると、彼は一瞬だけ悲しそうに顔を歪ませた。










「んー…そうですね…」








そして彼はバレバレの作り笑いをした。








なんなんだこの人?









「あっ…あの…」







「はい?」








私はずっと思っていたことを口に出した










「傘に、いれていただけませんか?」












「…ごめんなさい…そういうのは…」








あ…ダメか。








「そうですか…あ、ここどこか分かりますか?」









「わかっていれば迷ってませんよ」








彼は、ははっと笑った。










そうかぁ…この人にはなにを聞いても手がかりにはならない。









「ありがとうございました、では」









私は歩き出した。








うわ…全身ビショビショ…









制服が肌にくっつく感触が不快だ。









「あ、A高校どこ……うんありがとう」









背後から電話をする声が聞こえた。









< 5 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop