恋の扉をこじあけろ


そっと先生を窺うと、ばっちり目が合ってしまって、心臓がさらに速く鳴りはじめた。



わたしの心臓、壊れちゃうんじゃないだろうか。


どうしたらいいかわからなくて目をそらしたわたしに、先生の顔が近づいてきた。


わたしの耳元で、そっと囁く。


「会いたかったよ」


力が抜けたわたしの手から、診察表を攫っていった。


甘い囁きが何度も頭の中でリピートされて、火がついたように顔が熱くなっている。



先生は、あの日のことをなかったことになんかしなかった。


わたしと何をしたか、覚えてる…



うつむいたまま、的井先生に誘われて診察台に向かうと、一番隅のブースに案内された。


「あの…」


勇気を出して声を絞り出すと、先生は首を傾げた。

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