THEchocolateCHESS
☆*:・°白★:*:・°
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時計の秒針が動く時。
既に遅かった。
「…咲慧っっ!!」
彪の声が大理石の空間一面に響き渡った。
―――ドサッ…
…?
続いて硬い大理石に倒れた彪の姿。
白のクイーンを覆っていた硝子の破片。
響き渡る波動の木霊…… 「ぁ…ゃ……?」

それは信じがたい現実。彪は…居なかった。
市松模様の大理石の上。残された駒は、白のクイーンのみ。
「強く…ならなきゃ…」相変わらずの静寂が、咲慧と白のクイーンを包み込んだ。
咲慧は、それにそっと手を伸ばした。
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