†captivity†(休載)


「ありがとう。和歌と話してたら、もうちょっと頑張れそうな気がしてきたよ」



しんくんはそう言って、立ち上がった。



「……どっか行くの?」

「家出やめる」










「えぇっ!?」




なにこの子、痛かったんじゃないの?

まだ頑張るの?



「僕ね、今日わかっちゃった。疲れちゃってただけなんだ。和歌と話したらスッキリした。うん、たまにはさぼりもいいかも」

「え、悪い子になっちゃうよ!?」

「それでも。僕が僕じゃなくなるよりもずっといいよ」



そう言って謎の男の子は公園の出入り口に向かって行った。

どうやらしんくんは、答えを見つけたらしい。



しんくんは最後に振り返り、あたしに言った。



「また、会えるといいね」



心臓が、キュッてした。

なんだか叫びたくなった。

まだ一緒にいたい気持ちだった。

まだお話したかったのに。



「……ばいばい」



──言えなかった。
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