†captivity†(休載)


ともりくんていうのか……。

あたしは彼の名前をようやく知った。

5月も半ばなのに……。



てか使用人?

今奏多くん、使用人とか言わなかった?



「説明求めます」

「使用人?」



目をパチクリしてるけど奏多くん、普通の人に使用人はつきませんよ。



「……でも教育系とは言えないし……」

「教育系?」

「遊び相手……違う、見張り役?」



なんとなく、奏多くんの言いたいことが繋がってきた気がする。

だって奏多くん、『友達』とはいわないんだもん。



「二人には上下関係があるんだね」



こくり、頷く奏多くんは、少し寂しそうな表情で笑った。



奏多くんがこんな優しい顔してるなら、きっと踏み入ってもいい部分なんだと思う。



「奏多くん、聞かせて。滝澤くんの話でも、奏多くんの過去でも、何でもない雑談でも」

「……」

「そのために、お家に連れてきてくれたんでしょ?」



奏多くんはきっと、大切な話をあたしにするつもりで、ここに連れてきたと思うから。

こくん、奏多くんが頷いて、それから話始めてくれた。











彼もまた、捕らわれていた。



過去に

人の意見に

自分の心に──。




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