†captivity†(休載)


「……わ、和歌?」



知歌があたしを見て引きつった笑みを見せている。

自分でもわかる。

目が据わってて怖い顔をしているんだろう。



でもしかたがないと思う。

わけもわからずこんなイタズラしやがって、あのガキ……先輩だけど。



「なに、違うの?」



そう聞いてきた知歌に、大きく頷いた。



「なら誰にやられたの」

「先輩。すごく不良チックな先輩」

「和歌いつの間に不良と絡んでたの」

「巻き込まれたの。可愛い子がいたんだもん」

「……あぁ、納得」



知歌はあたしのことをよく知ってる。

誰よりも知ってる。



だからあたしがどれだけ可愛いものに目がないかも、よーく知ってる。



呆れた顔をしている知歌に、あたしは苦笑いを返す。



「なんかで隠しとかないと、そこすごく目立つよ」

「え、やだ。コンシーラー先輩使わなきゃ」



あたしは知歌の頭をなでてから、ベッドを降りた。



「そろそろ部屋行くね。おやすみ知歌」



知歌もどうやら心配なさそうだから、あたしは部屋を出た。

さて、あたしの仕事は終了だ。
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