†captivity†(休載)

緒方先輩が見ていないというなら見ていないのだろう。

あたしは見ていて知歌は見ていないなんて、一体どういうことなのかはわからないけれど。



別に隠しているつもりやいじわるをしているつもりもないので、一つため息をついてから、緒方先輩には本当の事を教えてあげた。



「知歌はあたしの弟です」

「……は?」

「だから、あたしの弟」



緒方先輩は、面白いくらいに驚きの表情を浮かべてくれた。



「……え、は?」

「二卵性の弟です。双子」

「双子!?」



心底驚いてくれたらしい緒方先輩は、そのまま数秒停止した。

放心状態というのが正解かもしれない。



「……ていうか、おま、可愛い弟って……」

「……はい、かわいかったでしょう?」



あれ、可愛い弟なんていつ言ったっけ?なんて疑問が浮かぶも、すぐに消える。

放心状態の緒方先輩は、未だにあたしの上から退いてくれない。

――と思いきや。

いきなり顔が下がってきた。

とっさに顔を反らしたあたしは、以前も似たようなことがあったような……なんて思っていた。



その予感は外れることなく、カプリ、首筋を噛まれていた。
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