†captivity†(休載)


「結果のわかってる賭け事って、好きじゃないんだ。でもだからって曖昧なままでこのままなのも嫌だし、悟先輩にまたヘタレって言われちゃうし」

「……うん」



無理してわらってることがわかる。

でも向き合ってくれようとしてくれるんだね。



「和歌」

「なに?」

「改めて、和歌が好きなんだ、俺」



静かな教室に響く声は、なんの迷いも躊躇いも感じない、ストレートな告白。



「……ありがとう、って言えばいいのかな、慣れてなくて……」

「うん、そんな和歌が可愛くて好きだから、付き合いたいんだ」



恥ずかしい。

真剣に告白してくれている灯くん。

でも彼はきっと、この先の答えがわかっている上で、告白してくれている。



それはなんて苦しいことなんだろう。

どれだけ勇気が必要なんだろう。



「ごめんなさい、好きな人がいるの」



でもね、そんな勇気を出して改めて告白なんてなかなか出来ないよね。

それは凄いと思うし、格好いいと思うよ。



「玉砕しちゃったな」



そう言って笑った彼は、ほっとしているように見えた。

きっとたくさん悩んで悩んで疲れたんだよね。
< 276 / 392 >

この作品をシェア

pagetop