†captivity†(休載)


よし、東先輩の反対側に座ろう。



あたしは東先輩を避けるかのように(避けたい気持ちがなかったわけでもない)座った。

そして……隣に緒方先輩が座ったので、ビクッとした。



「跳ねるな」

「別に、跳ねてなんて……」



跳ねた。

あたし今驚き過ぎて跳ねてた。

緒方先輩の言葉が適切過ぎて、あたしはなんだかショックを受けた。



そう、忘れてたというより、奏多くんで頭がいっぱいだったんだけれども。

そうだよ、奏多くんがどこに座っても近いように、つまり緒方先輩が座る場合だって真ん前か隣じゃないか!



でもどっちにしろ四人席なんだからそうなるのは仕方がない。

仕方がない、けれども。



ドクドクドクドク、心臓が妙に早く働いている。

だって……抱きつかれたんだもん。

忘れられてないし、気まずいし、緊張してる。

嫌だ、なんか。

隣にいるのが、嫌だ、逃げてしまいたい。
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