†captivity†(休載)
苦しそうな、痛そうなその表情を見て、あたしは思わず抱き付いた。
なんにも見えないように、なにからも見られないように、しんくんを隠した。
だって、泣いちゃいそうな顔だったから。
「なんでそんなこと言うの?」
「言われるから」
「失敗って?」
「そう、失敗って」
悲しい。
声が、泣いてる。
涙は出てなくても、心は泣いていた。
「僕はちゃんと頑張ってるつもりなのに、やってもやっても答えられない。父さんの理想はまだまだ遠くて、悔しいのに……」
「もういいよ!ごめんなさいっ、言わなくていいから、もう、痛いのに、言わなくていいから……」
「違う、聞いてほしいと思ったんだ、僕が」
「……」
「和歌になら、言えそうな気がして」
ぐいっと腕を伸ばして距離をとった心と、あたしの瞳が交差する。
「僕ね、悪い子なんだ。家出して来ちゃったんだよ」