君が好き




「…加藤?」


私が泣いていることに気付いた会長は
分かりやすく困った顔をする。


会長に会ってから私は泣き虫になった。


昔と何も変わらないはずなのに。
抱えきれなくなった、いろんなことが。


両手じゃあ持ちきれない。
会長に、頼ってしまいたいと思うんだ。


だって、ほら。






「加藤、空、見てごらん」




会長はいつも。
こうやって正解をくれる。

答えをくれる。



だから私は、また弱くなる。





「…うわぁ」




涙でゆがむ視界。
それでもわかる。



満天の星空だって。
眩しいぐらいの空。

ばらまかれたキラキラを一つずつ、ゆっくり見つめる。



会長も、このどれかを見ているかもしれない。
同じ景色を見ていたい。

同じモノを目にしたい。




ねぇ、隆史。
ごめん、ごめんね。




どうしてもこぼれてしまう涙。




正解は、何?





私は会長みたく、答えを見つけられないや。





みんな誰かを見つめてるのに。
1つも視線は交わらない。


第一、私は誰を見てるのか分からないんだ。








傷つけたくないのは、隆史。

だけど、支えたいのは会長。




私が好きなのは、誰?




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