君が好き
ただ街を歩くだけでも楽しくて。
加藤が楽しそうに目を輝かせるもんだから。
嬉しくて。
なんだかペラペラしゃべっていたのが
突然黙り込んだのでどうしたのかとその視線を追えば
クレープを食べるカップルを見つめている。
「加藤、あれ、食べよっか」
加藤も食べたいのかとクレープのワゴンを指させば
思った通りの笑顔で頷いてくれた。
ああしたい、
こうしたい、
と加藤は言わないから。
分かってあげたい。
加藤のしたい事、言いたいことを出来るだけ。
「んん、おいしーい」
「甘いもん好き?」
クレープをほおばりながら
何度もうなずく加藤に笑いながら
そういえばとめぐらせた思考。
あの、お祭りの日に男の子のお母さんからもらったスイーツバイキングにも目を輝かせていたっけ。
あのバイキング、
もう行ったのだろうか。
行ったとしたら、誰と…。
「会長は?」
「え?」
そちらを見れば
真っ直ぐ返された視線。
「好きですか?甘いもの」
「うーん。
あったら、食べるけど」
手すりに腰かけて並ぶ。
この瞬間を一生忘れたくない。
加藤のことが好きだって気持ちを
この夏の日を
どうか、一生、覚えられていますように・