瑠哀 ~フランスにて~
「ルイ、昼食は済んだの?」

「いいえ、まだです」

「僕達もまだなんだ。

ちょうど、どこかで昼を取るつもりだったから、君も一緒にどう?

ここで立ち話をするのも落ち着かない」

「ありがとうございます。でも―――」


 瑠哀は躊躇した。初対面の人間について行くことに戸惑いがあった。


「警戒する必要はない。

君を救けたことに恩をきせて、悪さしようとは思っていない。

ただのランチだ。

逃げたくなったら、いつでも逃げていい」



 ピエールの目はついて来るように促していた。


 救けてもらっておきながら、悪党呼ばわりするのも礼儀を欠かしている。


 それで、瑠哀は仕方なく軽く息をついて、


「ご一緒させてもらっても、いいですか?」

「もちろんだ」


 ピエールはスタスタと歩き出した。


 カヅキが瑠哀を見て、行こう、と促すのに頷いて、瑠哀はピエールの後を追うように歩き出した。
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