森の人
「急にいなくなって、茜と捜し回ったんだぞ」

いつもの和室に座るなり、荒い口調で拓也が言った。

「ごめん…」

謝るしかない澤山。

「謝らなくていいから、理由を教えてくれ」

「それは…」

そう言いかけて、二人を見る。

「気を利かせてくれたんだよね?」

澤山と目が合い、その表情から勘を働かす茜。

「う、うん…」
「声かけようと思ったんだけど…」

茜とアイコンタクトを取り、拓也を見た。

「そんな…」
「気を使わなくていい、て、言ったじゃないか」

荒い口調から、優しい口調になる拓也。
その様子は、友達に対するもの、というよりも、弟を叱り、心配するようなものだった。

「心配し過ぎなのよ。拓也は」
「茂君だって、子供じゃないんだから、いくら私達が気を使わなくてもいい、て言っても、気を使うわよ」

「そうだよな」

茜のその言葉に納得する拓也。
そして、

「俺達も気を付けるよ。茂、ごめんな。気を使わせて」

と言って、澤山の頭を軽く叩いた。
< 120 / 133 >

この作品をシェア

pagetop