あなたの言葉 ~短編~



 委員会でいつも遅くなってしまう私。

 ちゃんと待っててくれてるかな?

 他の子と一緒に帰っちゃったかな?

 少し不安に思うけれど、門の前に立って携帯の画面を見つめるあなたを見てとても安心してしまう。

「待った?」

「いや。」

 また短い言葉で返される。

 でも、その短い言葉だけで私は幸せな気持ちになれるんだよ?

 どんなに長くて甘い言葉でも、あなたのその短いけど、優しさのこもった言葉にはかないません。

「行くぞ。」

 そう言ってあなたは足を進める。

 その隣を歩く私に、さりげなく歩幅を合わせてくれる。

 身長が高いあなたが私の歩幅に合わせると、とても歩きにくいんじゃないかな?

 その後も無言で歩く私達。

 普通の人なら気まずいかもしれない。

 だけど私はこの時間がとても好き。

 まるであなたと二人きりの世界を歩いているようで。

 静かな空を見上げるとうっすらと星が見えていた。

 公園の横の道を通ると誰も乗っていないブランコが、風によって音を鳴らして揺れていた。

「……なぁ。」

 いつもなら滅多に自分から話しかけないあなたが、突然口を開いた。

「なに?」

 不思議に思い、返事をする。

「お前ってさ、好きな奴とかいんの?」

 何を言い出すのかと思えば、そんなことを単刀直入に聞いてきたあなた。

「…いるよ//」

 あなただもの。

 無口でもとても優しいあなたが、誰よりも大好きです。

「そっか……。」

 一瞬どこか悲しそうな、苦しそうな表情に見えたのは、私の見間違いでしょうか……。

「なぁ。」

 ???

「……ここ、寄ってくか?」

 ここというのは、この人気のない公園のこと?

「いいよ。」

 絶対に寄り道などしないあなたが、今日は珍しく寄り道をするなんて……。




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