極上御曹司のイジワルな溺愛

「ふぅ……」

大きく息を吐くとスタッフルームにある三人がけのソファーに腰を下ろし、そのまま横たわる。

今日の披露宴は特別疲れた。このままここで寝てしまいたい……。

身を丸め顔を見られないようにクルッと背を向けソファーにうずくまると、ゆっくり目を閉じた。

***

今日はわが町の古株市議会議員(いわゆるお偉いさん)──の孫娘の結婚披露宴。

規模が普段の二倍以上と言うだけでも大変なのに、新郎新婦にはゆかり全くのない市議会議員関係の方々がわんさか溢れ、自由気ままに会場内を闊歩。

こんなこと言っては何だがお年を召した方が多いから、そりゃあ自分勝手極まりなくて予定通りに披露宴が進まない。

「老人会の温泉旅行か……」

ついつい愚痴が漏れてしまう。

でもそれをまとめ上げ披露宴を時間どおり滞りなく進めていくのが、里中椛(さとなかもみじ)二十九歳、ブライダルMCの腕の見せどころ。

この仕事を始めて六年。私にだってプライドというものがある。ここで根をあげていては女が廃るというものだ。



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