極上御曹司のイジワルな溺愛

「昨日はあの後、おふたりで過ごしたんですか?」

蒼甫先輩が『あのふたりは、もう大丈夫だ』と言うからレストランを出たけれど、何も言わずじまいで気になっていた。

「ええ、濃密な夜を過ごしたわよ」

でも私の心配を他所に、里桜さんがそう言ってフフッと色っぽく微笑むと、一瞬にして顔がボッと熱くなる。

「そ、そうですか。それは、それは……」

同時に自分のことも思い出してしまい、顔だけでなく体も熱くなってしまった。

「里中さんこそ、誰とどこで何してたの? スマホに連絡入れても未読のままだし」
「え? あ……」

そう言えば私、蒼甫先輩と出かけてから一回もスマホを見てないような。

慌てて鞄の中をゴソゴソとかき回すと、一番底にあったスマホを手に取る。

「すみません、充電がなくなってたみたいです」

画面はブラックアウトしていて、電源を入れても、うんともすんとも言わない。

全然、気づかなかった。

頭を掻き、わざとらしくアハハと笑うと、里桜さんが顔が顔をグッと寄せ面白そうに笑う。

「そんなことにも気づかないくらい、蒼甫さんと幸せな時間を過ごしていたのね」
「し、しあせな時間……」

頭の中には昨日の夜の情事がくっきりと映し出され、里桜さんから慌てて目を逸らす。

蒼甫先輩の甘い言葉にほだされ自由を奪われてしまった私は、彼にされるがままとなってしまった。

まさか自分が、あんな状態になってしまうなんて……。

思い出しただけで恥ずかしさはピークに達し、両手で顔を覆い隠す。

「自滅か。大変だな」
「もう! 蒼甫先輩のバカッ!!」

まるで他人事のような蒼甫先輩に暴言を吐く。



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