極上御曹司のイジワルな溺愛
傲慢と言えばいいのか、素直と言えばいいのか。先輩からの愛情表現はストレート過ぎて、ホントもう私も笑うしかない。

「私も蒼甫先輩のことが好きですよ。だから傷口が塞がって退院できたら、そのときはいっぱい抱いてください」

いつもなら歯の浮くような恥ずかしい言葉でも、今なら蒼甫先輩に負けないくらい素直な気持ちで言うことができる。
だって私だって今、目の前で少し驚いたような顔をしている先輩が、誰よりも好きなんだから……。

手を伸ばせば蒼甫先輩は、すぐにその手を包み込むように握りしめ、体を屈めて顔を近づける。額がくっついたかと思うと、そのまま唇が重なる。

「今日はこれで我慢する」

もう一度触れると、心の底から幸せな気持ちが沸き起こる。

蒼甫先輩を離したくない──

改めてそう思う、優しい時間だった。




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