極上御曹司のイジワルな溺愛
独りよがりの思い込みも、あそこまでになると恐ろしい。

「ふたりは仲良くしてる?」
「それはもう仲睦まじくて、こっちが恥ずかしくなるくらいだよ。ただ彼女の方が、椛のことをかなり心配しててさ。自分が悩んでいることを椛にちゃんと話しておけば、あんな事件は起こらなかったんじゃないかって、自責の念にかられているようだった」
「そんな……」

自分を責める必要なんて無いのに……。

自分の力不足に、気持ちの落ち込みはひどくなるばかり。

「ふたりの結婚式、挙げさせてあげたかったなぁ」

小さな声でボソッと呟くと、蒼甫の顔に喜色が表れる。

「そのことだけど、あのふたりのに結婚式をプレゼントしようと思ってる。あの事件が起きたことはセキュリティーが甘かった雅苑にも一因があるし、このままじゃ椛も溝口さんも、ずっとあの日の気持ちを引きずったままになるしな」
「本当に? 私のことはともかくそれが本当なら、溝口さんもきっと喜ぶと思う」

嬉しい気持ちが止まらず蒼甫の膝の上で喜んでいると、「落ち着け」と腰をガッチリ掴まれる。

「いいか、よく聞けよ。椛の記念すべき復帰後最初の仕事を、あのふたりの結婚式にしようと思う」
「え? 私の復帰って……」
「言葉の通りだけど。椛はMCを続けたいんだろ?」
「それは、そうだけど」

蒼甫には申し訳ないけれど、私はどうしてもMCの仕事を続けたい。

さっき蒼甫に力説したくらいだ、もちろんMCを続けられることは嬉しい。嬉しいけれど、今のこの状態じゃ……。

アームホルダーをしている左腕を見下ろし、大きな溜息をつく。



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