極上御曹司のイジワルな溺愛

「体調管理と家事全般」

副社長が一度やると言ったことは、何が何でもやり通す。それは仕事の場合いい方向へと進むが、この場合は……。

考えただけで恐ろしい。

ひとつ屋根の下で、副社長とふたりっきり──

さっきのキスを思い出し、そっと唇に触れる。甘く柔らかい感触を思い出し、体がじわっと熱くなる。

……って。いやいやいやいや、あれは単なる事故でしょ。ねえ私、なんで体を熱くしてんのよ!

副社長も言ってたじゃない、小うるさい口を塞いだだけだって。だからあれは、何の意味もない、他愛ないキス。

もう何も考えるな、じゃないとここで暮らしていけない。

邪念を飛ばすように頭をブルブル振り、ダイニングを出て階段を駆け上がる。部屋に入るとベッドへと潜り込み、体を丸めそのまま目を閉じた。



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