極上御曹司のイジワルな溺愛

「いつも、こんな温泉旅館みたいな朝食を食べてるんですか?」

「毎日じゃないけどな。出張や早朝の仕事があるときは、パンをかじるだけってときもある。椛もそうだけど、式や披露宴があると昼飯が食えないことも多いだろ。だから朝は、しっかり食べるようにしてる」

そう言ったあと先輩は「いただきます」を手を合わせると、白い湯気の立つ炊きたての御飯を一口頬張った。

「旨い」

それにつられて私もいただきますをすると、お味噌汁を一口飲む。

「う~ん、体中に染み渡る」

朝の空気が冷たさを増し冷えている体には、温かい味噌汁はありがたい。白菜と大根のシンプルな味噌汁は、私の体と心を一気に満たしてくれる。

もしかして蒼甫先輩とここでずっと暮せば、毎日蒼甫先輩お手製の美味しい朝食にありつける?

それなら栄養失調や貧血で倒れることもないし、なにしろ朝から幸せだ。



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