極上御曹司のイジワルな溺愛

これが、なんなのか。

それがわからないほど子供じゃないし、すぐ理解するほど大人でもない。豊富ではないが、二十九歳にもなれば少なからず恋愛経験もある。

なんやかんや言われても、傲慢で偉そうな態度を取られても、蒼甫先輩から離れられなかったのは……。

好き──

“LIKE”だと思っていた感情は、どうやら“LOVE”だったみたいで。

突然沸き起こった感情に、その気持ちが本当なのか戸惑うばかり。

昨日からの一連の流れがあったから、脳が勘違いしているのかもしれない。蒼甫先輩が彼氏っぽいことばかりしてくるから、そう思い込んでしまっているのかもしれない。

いろいろ考えてはみたものの、一度沸き起こってしまった気持ちはそう簡単には変わらない。

さっきお好み焼き屋さんで蒼甫先輩がメールを見ていたときのモヤッとした気持ちも、そのあと竹内さんとの仕事の話より私のことを優先してくれて嬉しいと思った気持ちも、今の気持ちの前触れだったような気さえしてくる。

いろんなことが一致してくると、今の気持ちも素直に受け入れられる?

認めたいような認めたくないような、複雑な気持ちが交差する。



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