ETERNAL CHILDREN 2 ~静かな夜明け~
棚の最後を終えたところで、向かい側の棚を終えたシロウと出会う。
「これで終わりかしら」
「僕はここまで終えました」
マスクを外したシロウが持っているリストを指さす。
シイナは、そこで3つ資料が抜けていることに気づく。
「1世代分抜けているわ。私はここまでしか探せなかった。この棚で丁度終わったもの」
「? 僕は向かいの棚を終えましたが、どうやら1世代分資料が棚から抜けているようですね」
「おかしいわね。まるごと抜けるなんて……」
「まあ、今日のところはよしとしましょう。就業時間が終わりに近づいています。残りは明日探せば済むことです。カートを貸してください。下へ運びます」
シロウがシイナの探し出した資料を積んだカートに、自分の見つけた分を乗せていく。
「――」
どうもすっきりしなかった。
1世代分の資料が丸ごと抜けるとしたら、一体どこへ?
年代を見る限りさして重要なクローニングが行われた年代でもない。
いくら紙媒体でも、勝手に処分することはできないのだ。
もう一度、シイナは自分が探した最後の棚を見た。
「順番が入れ替わっていたなら、気づいたはず……」
そうして、向かい合わせの棚のずっと奥に目をやる。
その時、ふと、視界の右上――丁度棚の上に、何かが上がっているのに気づいた。
シイナは、はっとすぐ左上の棚と右上の棚の上部を見比べた。
右の棚の上だけに段ボールが上がっている。
奥まっているので最初は気づかなかったが、よく見れば年代も書いてある。ちょうど自分達がないと言っていた年代が端から並べられていた。
「シロウ、あったわ!!」
叫ぶと同時に梯子を動かして登り、もう一度年代を確かめる。確かにこれだ。
シイナは段ボールに手をかけて、勢いよく引き寄せた。
だが。
「!?」
段ボールは長い年月の末、劣化しており、資料の重みとシイナの引き寄せる力によって、呆気なく両端が破れた。
破れたところから、僅かに引き寄せられ、横積みに重ねられていた中の資料がバランスを崩して滑り落ちてくる。
「きゃあぁぁぁ!!」
「博士!?」
咄嗟に下を向いて頭を庇ったが、雪崩のように次々と滑り落ちてくる資料は、シイナの上に降り注ぎ、シイナは為す術もなく資料が全て自分の上を滑り落ちていくのを待つしかなかった。