誘うクチビル
誘うクチビル




飲み会も一時間経つとアルコールが回りはじめ盛り上がっている。

ただひとり、鳴きもせずピクリとも動かぬスマホを見てはその都度ため息をつく私を除いて。



「彼氏?」


絵美ちゃんから、
「甘えん坊で寂しがり屋な愛には、意地悪で我が儘な年上が丁度いい。そんな男が1人いる。顔も良いから来なさい」
と、理解できない理論で誘い文句に使われた目の前の男が聞いてきた。

確かに顔は良い。
何より黒髪短髪でおでこがでているなんて最高だ。
名前は───…なんだったか。


懸命に思い出そうとして質問されたことを忘れてしまっていた。



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