白銀の女神 紅の王(番外編)
エレナにとって友とは自分を受け入れてくれた大切な人だという認識になる。
故にその想いは計り知れなく、友と認識した者には全幅の信頼と好意を寄せるだろう。
現にジェスの時も裏切られたというのに最後までジェスをかばおうとした。
エレナの友とは俺にとって厄介なもの以外の何者でもなかった。
「やけに嬉しそうだな」
皮肉で言ったつもりだった。
しかし、エレナは顔に手をあて顔を赤らめる。
「顔に出てました?久しぶりのお友達だから嬉しくて」
お前のその顔を見ていると滅茶苦茶にしたくなる。
一生の誓いを立てたというのに、焦るのだ。
国王という俺の立場を一番理解し、その責務も知っているエレナが俺から離れていかないかと。
一般市民と一緒になった方が気が楽なのではないかとエレナが気づいたらどうしようかと。
この先エレナの容姿と能力を受け入れる者が現れないでもない。
考えない様にはしていたが、ふとした時に思いだし、漠然とした不安に襲われる。
気づいたときにはその細い手首を掴んでいた。
「シルバ?」
きょとんとしたエレナの腰をもう一方の腕で抱き寄せ、息遣いがわかるほどの距離に詰める。
透き通るような白い肌がほんのり赤く染まり、ダイヤモンドを思わせる銀色の瞳がキョロキョロと視線を泳がせる。
俺がドロドロとした感情を抱いていることなど露程も分からないエレナだが、身の危険を感じたのか俺の胸に手をあてて一定の距離を保とうとする。