白銀の女神 紅の王(番外編)
狭いスペースの中にも整理整頓が行き届いており、棚には瓶詰めにされた木の実や見たことがないスパイスが綺麗に並べられている。
一階にはリビング、台所しかなく、私たちは客室がある二階に向かった。
二階には大部屋と小部屋がそれぞれ二つあり、侍女と護衛はそれぞれ大部屋、風邪を引いている私は小部屋を一つ使わせてもらうことになった。
あてがわれた部屋には小さなテーブルとベッド、暖炉などありふれたものがあるだけ。
王城のような豪華な作りではないけれど、手作りのクッションやスリッパなど温かみあふれる部屋だ。
私とニーナが荷ほどきをしていると、突然部屋の扉が開いた。
「入るぞー」とノックもなしに部屋に入ってきたのは長身の青年だった。
突然は言ってきた男に驚き、身を引くと、ニーナが私に向かって微笑む。
「大丈夫です。この方はフェルトさんのお知り合いです」
そう言ってニーナは男の方へ歩み寄る。
「ブルームさん、お久しぶりです」
「おう!相変わらず小っせぇなお前は。本当に成長してんのか?」
「な!失礼な!これでも少しは成長しています!」
にこやかに挨拶したニーナにブルームという男は親しげな笑みを見せる。
挨拶こそ独特だが、ニーナも本気で怒っているわけではなさそうだ。