白銀の女神 紅の王(番外編)



俺が行くことを了承しているということは話し合いの余地はあるのだろうが、ややこしくなることは間違いない。

そんな重要な会議の場にエレナを連れていくと貴族たちの反感を買いかねないため、これで良かったのかもしれない。




「それで、エレナはサウス地区のどこへ向かったんだ?」

「フェルトさんのところですよ」


「フェルトだと?」

安堵したのもつかの間、サラリとこたえたウィルの言葉に思わず声が大きくなる。




「旅の一行のような装いをしている者たちが立派な屋敷に入っていったらおかしいでしょう?」

「それはそうだが…」


旅の一行の装いで行ったのなら宿場に泊まるか、土地の者に宿を借りるのが無難だ。

サウス地区の市民は穏和で気さくな者が多く、旅の者も受け入れてくれるだろう。

そんな中、何故あのフェルトのところに泊まることにしたのか。

おそらくニーナが付いているためあの場を選んだのだろうが、ニーナめ何も考えずにフェルトのところを選んだな。

難しい顔をしているとウィルが呆れたように深く息を吐く。



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