鏡の国のソナタ
狭いマンションからろくに外に出たことのないクランは、大いに喜んで身を乗り出した。

「ちょ、ちょっと、花南……」

あわてて、素奈多が花南の腕を引っ張るが、花南は、一度言い出したら後へは引かないタイプだ。

「いいじゃない。少しくらい。クランくんの気持ちも考えてやらなきゃあ。これじゃまるで、かごの鳥よ」

あれよあれよという間に、外に遊びに行く算段になってしまった。

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