鏡の国のソナタ
「なぁんか、勝手な言い分だよな~」

クランの顔を見ずに、素奈多は頭を下げる。

「だからごめんって」

クランは、体を反らせて素奈多の耳元で囁いた。

「あのさ、俺が、好きでここに居るとは思わないわけ?」

思わず素奈多はクランの顔を凝視する。

「え?」

至近距離で、見つめ合う格好になった。

「おまえに追い出す気がないなら、もう少し、ここに居させてくれって頼んでんの」

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