鏡の国のソナタ
重なった唇に驚いて、素奈多は思わず膝に力を入れた。

思いっきり、右膝をクランの腹にめり込ませる。

「なにすんのよっ! ニセモノのくせにっ!」

ぐえっ、と変な声を出して、クランは床に転がった。

「いてててて……。蹴るこたぁねぇだろう?」

腹を押さえて苦しみながら、クランは呻くように言った。

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