光源氏の腕の中【仮】
湯につかった私は、

お菊を呼んだ。

「なんでございますか?」

「お菊さんも一緒に入ろう?

独りじゃつまんない」


「…ですが、今宵は、大事な」

「いいから!」

私は強引に着物を脱がせ、

2人で湯船につかった。

・・・

私はお菊の体を見て、

絶句する。


「どうしたの、その体?」

「・・・これは」

体中スリ傷だらけ。

あざもあちこち出来ている。

・・・

「もしかして・・・」

「・・・」

「苛めにでもあってる?」

「・・・」

私の言葉に答える事はしなかったが、

顔が歪むのが分かった。

私はお菊の体を包みこむように抱きしめた。

「…私のせいかな。

いや、きっと私のせいだよね…

ごめんなさい」
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