光源氏の腕の中【仮】
「帝様、お菊にございます」


「…なんだ、こんな夜中に?」


「朱音様は、婚儀の前で、

気持ちが迷っておいでです…

お叱りは受けますので、どうか、

今夜だけは、お見逃しください」


・・・

ふすまの向こうで、

土下座の格好で、お菊が私を

必至に助けようとしてくれてる。

・・・

「・・帝様」

私は泣きながら、

帝の顔を見つめた。

・・・

「・・・もう、よい。

ゆっくり眠れ・・・」

・・・

ササッと身なりを整えた帝は、

部屋を出ていった。

・・・

私もお菊も、

大きな溜息をついた。
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