二人の兄に激甘警報発令中!

俺は何も言えず、椅子に座った。


「え!?彩羽ちゃんが?また貧血起こしちゃったんだわ…大丈夫かしら。」


母さんは心配そうに顔を歪めた。


響也は母さんの方へ向いた。


「日差しが強くて倒れたんだ。プールなんかするからだ。」


プール……離れのプールの事か。


響也は満足気に俺の隣の椅子に座った。


久し振りの家族団欒の食卓。


しかし俺の頭にあるのは彩羽の事だけ。



「そう……寝ている所を邪魔しちゃ悪いわよね。よしっ!みんな!食べるよ~。」



母さんの明るい言葉で俺はハッとした。


せっかくの豪華な食事。


母さんが腕によりをかけて作ったのだろう。


俺は左斜めにあるグラスを持った。



親不孝者だな。俺は。



今を楽しもう。


彩羽、お前もな。



俺はそう心の中で呟き、グラスの中に入っている水を飲みほした。


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